【side 塔ヶ崎】

聡子は信じられないくらい、変わっていく。机に向かってばかりだった時間は楽しそうに松下や、細川と喋ってる。
女子だけじゃなく、男子とも喋ってる。
前みたいに、人のことをぶった切りにもしてないし、見た目も綺麗になった。

俺と付き合ってから、誰かに何か言われたらと心配したけれど、聡子はちゃんと自分で解決する。ほんと、頼もしい。
傷ついたらちゃんと抱き締めるつもりでいる。
ちゃんと、見てるから。

……廊下ですれ違った筒井が、俺に複雑そうな顔を向けてきたけど、気づかない振りをする。これでいいと思う。あいつも。

聡子の事は一度、誤解で傷つけたから、お互いちゃんと相手に聞くことにしてる。
過去は変えられないけど、あることないこと想像してもやもやするより真実を伝えた方がいいと思う。
二人でもやもやした方がずっといい。

聡子にどうしてやろうかなって思ってたけど、結局自分がそうしたいから、だから、俺のすることは自分勝手なのかもしれない。

それでも、聡子は「好き」って言ってくれるから……これで、いいのかもしれない。

すっかり俺の家族に馴染んでいる聡子に、ずっと一緒にいればいいのにって思う。

先の事はわからないけど、そうなるといいなあって思ってる。俺も。俺の家族も。

今の価値観なのかもしれないけど、聡子とずっと一緒にいたいと思う。

さすがに自分のこんな気持ちは恥ずかしくて思うだけに留めてる。