「……あのねえ」
「何?」

今度は、塔ヶ崎くんがそうしてきて、苦しい。いつもと違う重いキスになった……。
固まってしまった私に、塔ヶ崎くんが困った顔で言う。

「ほら、こうなるだろ? だから、離れてって」
「……いいけど、私は」

そう言うと、頭を抱えてしまったけれど……。

再び顔を上げると「そう?」って可愛い顔で笑った。

私たちは、両親が帰ってくるまでずっとくっついていた。

「やっぱり、ここくらいまでしとこう」って、塔ヶ崎くんは立ち上がってしまった。

「残念」って言った私にまた困った顔をして、部屋を出る前にキスをくれた。

「ああ、そうだ、そろそろ下の名前で呼んでね」
「……はい」

恥ずかしい。勇気がなくて呼べずにいたら

「さっきしたことの方が恥ずかしくないか?」と、言われてしまった。
「名前の方が恥ずかしい」って言うと
「聡子、よくわかんねえな」って、困ったように笑って……帰ってしまった。

はあ、撰くん、今日も格好よかった。
陽葵も、清夏も……こんなことしてるのかな?
なんて想像してしまって、顔が熱くなった。

でも、今度また寄り道して、聞いてみようっと。