「……私、勉強好きだよ?」
「そうね。でも、それはそれで心配してたの。だから……この夏休み、すごく、ほっとした。年相応の聡子を見たらほっとして、泣けちゃった」

目を潤ませた母親に、塔ヶ崎くんがそわそわしてる。きっとタオル探して“俺としたことが”って 思ってる?

「……悪かった。プレッシャーになってたんだな。聡子が幸せで元気にやってくれたら、それ以上望むことはない。親が気づかなかった事を……見てやってくれてありがとう」
父親が塔ヶ崎くんに頭を下げた。

「聡子さんなら、大丈夫です。友達もたくさんいる。聡子さんと一緒にいたい人がたくさんいるんです。僕もその一人です」

塔ヶ崎くんがそう言ってくれたから、私も涙が出て来てしまった。

大丈夫だよ、塔ヶ崎くん。うちにもタオルあるから。
そわそわしてる塔ヶ崎くんが目に入ってそう思った。

父親が渡してくれたのは布巾だったから、自分でタオルを取って来て、母親と一緒に端と端で涙を拭いた。
塔ヶ崎くんがそれを見て笑ってたのは、見てたからね。