「今日、手ぶらなんだよ」
と、自分のシャツで私の涙を拭いてくれた。
「俺としたことが」ってボソリ言うから笑ってしまって
「何だよ」って塔ヶ崎くんも笑った。
「行こ」って塔ヶ崎くんが手を繋いで歩き出す。
「もう、帰っちゃうの?」
「うん、夜はダメ。親が心配するだろ?」
……うん?すぐに家に帰ると、母親が出て来て、塔ヶ崎くんが頭を下げた。
「遅いんだけど、よかったら少し話せる?」
母親が塔ヶ崎くんにそう言って、リビングのテーブル、うちの家族(といっても3人)と塔ヶ崎くんがそこに座った。
「すみません、遅くに。塔ヶ崎撰です。聡子さんとはクラスが同じで……」
母親と父親も気づいたと思う。珍しい名字だから。少し驚いた顔をした。
「お付き合い、させてもらってます」
そうはっきり言ってくれた。
「うん、彼氏が出来たんだなって思ってたの」母親はそう言ったけれど、父親はビクリと跳ねていた。
「うん、少し前から」
でも、医者になりたくないとか言ったのは塔ヶ崎くんのせいじゃなくて、どうしよう。責められたらと、ハラハラした。
「聡子が毎日すごく楽しそうで、小さな頃から今まで、反抗期らしいものもなく、とても手のかからない子だった。成績もいいし」
「はい」
「でも、無理させてたんだなって気づけたの。友達と出かけることも、こうやって男の子に興味を持つこともなく、ずっと、一人で勉強してた」
母親は母親で心配してくれてたの、私も知っていた。
と、自分のシャツで私の涙を拭いてくれた。
「俺としたことが」ってボソリ言うから笑ってしまって
「何だよ」って塔ヶ崎くんも笑った。
「行こ」って塔ヶ崎くんが手を繋いで歩き出す。
「もう、帰っちゃうの?」
「うん、夜はダメ。親が心配するだろ?」
……うん?すぐに家に帰ると、母親が出て来て、塔ヶ崎くんが頭を下げた。
「遅いんだけど、よかったら少し話せる?」
母親が塔ヶ崎くんにそう言って、リビングのテーブル、うちの家族(といっても3人)と塔ヶ崎くんがそこに座った。
「すみません、遅くに。塔ヶ崎撰です。聡子さんとはクラスが同じで……」
母親と父親も気づいたと思う。珍しい名字だから。少し驚いた顔をした。
「お付き合い、させてもらってます」
そうはっきり言ってくれた。
「うん、彼氏が出来たんだなって思ってたの」母親はそう言ったけれど、父親はビクリと跳ねていた。
「うん、少し前から」
でも、医者になりたくないとか言ったのは塔ヶ崎くんのせいじゃなくて、どうしよう。責められたらと、ハラハラした。
「聡子が毎日すごく楽しそうで、小さな頃から今まで、反抗期らしいものもなく、とても手のかからない子だった。成績もいいし」
「はい」
「でも、無理させてたんだなって気づけたの。友達と出かけることも、こうやって男の子に興味を持つこともなく、ずっと、一人で勉強してた」
母親は母親で心配してくれてたの、私も知っていた。



