──やっと女子だけで集まることになったのは9月も3週目に入った頃だった。
明らかな態度の変化と距離感に、聞かなくても(私、頭はいい方だから)悟ったけれど。

「ねえ、陽葵と日野くん、清夏と誉田くん……であってるよね? でさ、夏休み前は陽葵は誉田くん、清夏は日野くんを好きだったよね」

二人して真っ赤になって俯くからおかしくなる。

「やっぱり、1対1になった時、いい意味で思ってた人じゃなくて……」
陽葵がボソボソ言ってる。

「へぇ、二人になったらどんな感じなの?」
「秘密」
「ぶっ、何よそれ」
「じゃあさ、塔ヶ崎師匠はどうなのよ」
「…………秘密」

「ぶっ」
笑われてしまった。

「誉田くんは?」
「………………秘密」

「話になりませんね」
「そうですね」

だって、みんなが塔ヶ崎くんに惚れたら大変だ。ただでさえモテるのに。私、やきもち焼きだし!

『……もうすでに楽しくない』
そう言った私に二人が同意して、会話もなく教室を出たあの日とはずいぶん違う。

「塔ヶ崎くんとペアで良かったなあ」
「私も、日野で良かったよ!」
と、陽葵も言った。
「よく言う!」と清夏に言われてたけど

「清夏だって、『「日野くんが良かったなあ』って言ったくせに!」
と言い返されてて、みんなで苦笑いした。

私は、知ってるんだ。だから、二人に教えてあげた。
「好きと嫌いは紙一重なんだよ」って。

嫌い、じゃなかった。好き、だった。
陽葵も、清夏も、すっごい幸せそうだった。
私だって負けてない。