みんな、何でか帰っちゃったけれど(明日学校で何でか聞こう)
私たちは、せっかくだからひまわり畑を満喫した。

「あ、ひまわりの種売ってる! 買おうかな」
「……いいね。あ、うちのモネとゴッホも種取ってたわ。いる?」
「いる!」
「……また、うちに見に来てもいいけどね」
「うん、行きたい」

そう言うと、満足そうに笑ってくれた。
このひまわりはすごい大きい。男の子の背丈より大きいもんな。

買ったひまわりの種は塔ヶ崎くんのリュックの中。

帰り道もずっと手を繋ぐ。
「何で手を繋ぐの?」
「繋ぎたいから! 聡子は?」
「嫌じゃないから!」

おかしくて笑う。
何で嫌じゃないんだろう。何で繋ぎたいんだろう。……好きだから、だよね。

好きになったら、触れたいって初めて知った。帰りの電車もずっと、くっついていた。

チラリ見ると、チラリ見られていて、目が合うとふっと笑ってくれる。

この、笑ってくれるの、本当に好き。
私は恥ずかしくて笑えないんだけど、ずっと見ていたくて見上げる。

名残惜しいけれど、電車を降りたら私たちは帰ることにした。
「初日に親に心配させたらダメだしな」
「うん、帰って勉強する。今日の分してないし」
「……聡子のそういうとこ、尊敬する」
と、苦笑いされてしまった。