「お腹いっぱいになったら眠くなっちゃうね」
「だな。朝早かったからな」

カフェでずいぶんゆっくりしてしまっていたら、スマホの通知音が二人ほぼ同時に聞こえた。

「あれ……昂良だ」
「私もだ」
「……って、聡子何で昂良の連絡先知ってんの? 俺とはペアになってから交換したのに」
「……やきもち焼きだなあ」
「ぬ……」
塔ヶ崎くん、赤くなって黙った。
……何でだろ。何か忘れた。それのレベル。
このメッセージが初めてだからやりとりはしたことがないのだろう。

「内容……同じ?」
「そうだな。……俺が! 聡子の分も返信しとくから」
って言われて笑った。

「……最後の日に集合か。どうなってるんだろうな、あいつら」
「……本当だね。ペアが決まった時は不満そうに帰ってたけど」
「…………聡子も、だろ!」

鼻をきゅっと摘ままれて、そ、そうだった。
すっかり忘れてて。

「ごめん」
「うん。行こうか。この場所まで結構時間かかるし」
「うん」

私たちはカフェを出ると手を繋いだ。
電車に乗ると、きゅっとくっついた。

チラリ見ると、チラリ見られていて……何とも言えない気持ちになる。胸に熱いくらいの日差し。窓から見える水面(みなも)がキラキラ。綺麗。海も、空も、塔ヶ崎くんの髪も青い。

「まあ、いいや、見といて」
そう言われたから、お言葉に甘えてそうすることにした。
「恥ず……」って、ボソリ聞こえてきたけど。照れた顔も可愛い。