「ごめん、そうだよな。ちゃんとしとかないと。……いいの? 聡子」
「うん、ごめんね、待たせて」
「俺も、ごめん。付き合ってないのにキスしちゃって」

あ!そうだよ、そうだ。手を繋ぐ以上のことはダメだって……でも数分後には付き合ってたから、ギリギリセーフ?なんて考えてたら

もう一度、そこでキスされて
「もう、付き合ってるからいいよね」
って……笑った。

「うん」
「もう一回」
「うん」

もう一回のキスが終わると、やっぱりもう一度砂を叩くことになって、笑った。

「今度こそ、朝ごはん!」
「うん、お腹すいちゃった」
「だな。また……来よう」
「うん、何回でも来たい」

いつの間にか日差しは暑いくらいになっていて、ひんやりした空気も温いものになってた。

モーニングをやってる喫茶店(!)に入る前に塔ヶ崎くんはもう一度念入りに自分とリュックについた砂を叩いていた。

「椅子汚したら悪いし」

塔ヶ崎くんの、こういうところ、すごく、「好き」
「へ?」

あ、声出てた。ま、いいか。
「ねえ、大好き」
「うん、俺も」
恥ずかしそうにそう言ってくれた。

朝食のメニューに悩む私に塔ヶ崎くんが笑う。
「眉間のシワ!」
「だって、どれも美味しそうなんだもん」
「二種類選んでいいよ」って言ってくれた。

……優しい。
それから、「また来よう」って。