庭でお茶会でも出来そうな、テーブルと椅子も置いてある。鋳物製の椅子、円テーブルは大理石かな?
一生縁の無いような暮らしって感じ。

「おっそ、何? ひまわり好きなの?」

たまたまテーブル見ていたら、その前にひまわりが咲いていたらしい。何かちょっと違うような……
「これ、ひまわりなの?」
「そ。こっちが“ゴッホのひまわり”色の薄い方が“モネのひまわり”って品種だって。中にもある。暑いし入ろう」

これまた高そうな……大きなドアを開けてくれる。

「ゴーギャンとマティスのひまわりもあるらしいんだけどね。品種改良されたやつかな?
花粉が落ちないから 、玄関に生けるのにちょうどいいとか言ってたな。ゴッホは一重から八重まで色んな花が混じるんだって。咲くまでのお楽しみ?」

そんな話をしながら、塔ヶ崎くんはにこっと笑って玄関を指差した。
花弁の長いひまわりが数本、真ん中が一番太くなった白レモンイエロー二色の花瓶に生けられていた。
数種類花があるのかと思ったけれど、ゴッホのひまわりだけなのだそう。

「あ! 絵画の?」
「はは、そう。せっかくだから再現したらしいわ。どうぞ」

そう言って、そのすぐ横のドアを開けてくれた。

あ、うっかり玄関入った時にお邪魔しますって言い忘れたなあ、と思った。