「何よ、美紘」
舞花の顔に、観念したのか美紘が遠慮がちに口を開いた。

「いつも女の子といない? この前から何回か目撃してて……どっちも違う子といた。すごく可愛い子だった」
美紘が棒読みで言った。

「一緒に買い物してたよ。仲良さそうだった」
女の子と?塔ヶ崎くんとはいつも朝に会うから、彼が昼からどう過ごしているか知らなかった。……そっかあ。他の子と会ってるかもしれないって考えたことなかった。他の子にだって、誘われているかもしれない。

「友達だと思う!」
間髪入れずに舞花が言った。

「撰くん、すっごい友達多いから。何よりモテる」
「……うん。そうだね。でもさー、自分の彼氏なら嫌だな」

「……考えようによっちゃ、聡子も彼女じゃないなら文句言えないよね。聡子も友達の枠を出てないんだから」

……そっか、私……今、何なのだろう。ペアになったから、一緒にいて……
友達? 友達は手を繋ぐの?

私が言ったんだ。付き合ってないならこれ以上はダメって。友達なら手を繋ぐのなら、塔ヶ崎くんはその子たちとも手を繋ぐの?

「……手、繋いでた?」
「え? いや、繋いでなかったよ」
それを聞いて、ほーっと息を吐いた。

友達と手を繋ぐ?繋がないよね?好きだから繋ぐ。
私は、好きだから繋いだ。

……あれ?塔ヶ崎くんは?