午前中は塔ヶ崎くんと会って、昼から塾に行く。
美紘や舞花が塾の日はそのまま寄り道したりする。夕ごはんを外で食べたり、少し帰りが遅くなることも増えた。

私の変化に、母親は嬉しそうにはしていたが、心配もしていたので、そのあたりの調整はうまくやらないといけない。
みんなそうしてるって言ってたから、なるほど。親に裏工作までするっていうんだから、ベテラン過ぎる。

「ねえ、聡子って撰くんとどうなってるの?」
「会ってるよ、それなりに」

塔ヶ崎くんの事を好きな舞花に塔ヶ崎くんの事を話すのはタブーかと思いきや、舞花は聞きたいらしい。

「何それ、いいなあ。私も彼氏欲しい」
「塔ヶ崎くんの事はいいの?」

いつの間にか仲良くなった美紘が舞花に尋ねた。

「付き合ってないよ」
言ってからしまったと思った。長くなりそう……。

「え!? え!? 何で? 手繋いでたよね?
撰くん、聡子の事明らかに好きじゃん。だから、諦めたってか、呆れたのに 」

それに答えたのは、私じゃなくて、美紘だった。
「ねえ、私はよく知らないんだけど、あの人って、ちゃんと彼女つくったりする人なの?」

「え、見た目より真面目だよ。そのギャップがいいんだよ」
舞花が間髪いれずに言う。

「うん、いい人だよ、ちゃんと」
私もそう言ったけど、美紘は納得いかない顔で、目を泳がせる。