「ごめん、あんな姉で」
「何で? 嬉しかったよ。やっぱり不安だったからさ。冗談でも口に出せて良かった。ふとした時に、お姉さんが拾ってくれるから大丈夫! って笑えるよね」

本当に思い出すと吹き出せる。
「ま、そう言ってくれて良かったわ」
「ちょっとした喋り方が塔ヶ崎くんに似てるの」
「……え、マジ? そっかな」
「うん。お姉さんもお兄さんもお医者さんになるの?」
「そ、どっちも医学生」

すごいなあ、色んな意味で。
「大学生も忙しいんだね」
今日初めてあったくらいだし。

「受験のこと、ねーちゃんに聞きたかったら聞いて。聡子も医学部だろ?」
「あ! 本当だ。そうだね。またお願いしようかな」

楽しい時間はあっという間に過ぎた。気づけば夏休みもあと2週間あまり。

また一ついい思い出が出来た。
新学期始まったらどうなるんだろ。

「大学生……か」
「憧れる?」
「うん、すごい大人に見えるよね」
「そうだなあ。こうやって春休みとか夏休みとかはいいけど、学校始まったらリズムが合わないわ。価値観も」

……それは、お姉さんと?それとも一般論?

それとも……
だから、あの彼女に振られたんだろうか。
お兄さんやお姉さんのいる塔ヶ崎くんはだから変に大人っぽいのかな。
だから……大人っぽい人が好きなのかな?