「あ、いや、この子、早期自立目指してるから」
と、塔ヶ崎くんがフォロー?してくれた。

「へえ、えらいね」
「えらくないです。単に将来一人なのでそのために出来るだけ準備をしているだけです。自分のため、です」
塔ヶ崎くんがおかしそうに肩を揺らす。
緊張!してるんだってば!

「将来一人ってどういうこと?」
「親戚が全然いなくて、一人っこですし、親亡き後が一人で……猫くらいは飼ってると思うんですけどね?」
お姉さんが、私と塔ヶ崎くんの顔を往復させる。私、何か変なのだろう。

「えっと、子供を持つ気はないの? 子供は持たない場合もあるだろうけど、パートナーは?」
「出来てたらいいんですけど、出来ないことも想定しておかないと。自立さえしてたら委託は出来ると思うので」
「委託?」
「誰かが、一人身の私の骨を拾ってくれる、ということです」

お姉さんは悟ってくれたのか
「なるほど」と、だけ言った。

それから、塔ヶ崎くんを見ると
「撰とは?」と、疑問をそのまま口に出した。確かに夏休みに毎日のように来てたらそう思うのも当然だけど……。

「友人です。クラスメート」
そう答えたけれど、お姉さんは塔ヶ崎くんの顔を見たままだ。

「何やってんの、あんた、寝てんの?」
「まあ、そうだな」

寝てる?塔ヶ崎くん、まだ起きてなかったの?