太陽は次の日、
実家に帰って行った。

二人がいないだけで、
この家は何だか静か。

『俺も帰ろうかなぁ…』

春が呟いた。

『帰ってもさ、
兄弟がいるわけでもなく、母親は働いてるからのんびりくつろぐわけでもなく…なんだけどさ。』

『そうかぁ。』

貴が答える。

『まぁ、たまには
静かなのもいっかなぁ…』

『悪かったな、
うちはうるさくて!』

『嫌味で言ってんじゃねぇよ。
一人っ子なの、俺は。
羨ましんだよ?
おまえらのこと。』

『はいはい、さっさと帰って
親孝行でもしてください。
はい、いってらっしゃい、
さようなら。』

『なんだよ…』

春を残して
貴は自分の部屋に帰って行く。

『機嫌わりぃなぁ…』

『寂しんだよ、あいつは。
ガキだな。』

宏が言った。

『寂しい?男同士、毎日一緒で
逆にうっとうしくないか?』

『なぁ!暑苦しいよ。特に春。』

『俺?!もしかしておまえも機嫌わりぃのかよ。…寂しいのか?』

『そういうとこ、暑苦しい。』

『わかったよ、
さっさと帰りますよ!ったく、
なんだよ。』

ふてくされる春の背中を
笑って見送る宏。