2ねんせいの夏。

『おばさん、太陽も普通の子供で、もう二十歳過ぎた男なの。』

『……。』

『普通の子供はもっと手を焼くと思うよ。太陽なんて本当に子供の反抗、いい意味で。
まして、この歳で言われるがままってほうがおかしいって。いつかキレるより少しずつの反抗?のが、いいんじゃない?』

春が語った。

『僕は…』

太陽が何か言おうとする。

『僕は
家から通える高校なのに、
貴や宏の家でお世話になろうって決めたのは、
お母さん達が少しでも僕のことを忘れて暮らせたら、
少しでも心配しないですむ平穏な時間ができたら、
楽なんじゃないかって…思って。
ずっとずっと僕中心の生活から、少しでも抜け出せたらと…』

『子供の事、忘れて暮らせる
親なんてそういないのよ。』

太陽の母が言った。

『忘れて暮らしたいなんて思わないから。
大変でもしんどくても、大切な子を想って暮らすのが私達の幸せなの。
太陽が生きてることが、
私達が生きてるって事。』

母親の笑顔が太陽を泣かせた。

『感動劇見ちゃった。』

奈々が鼻をすすりながら言った。

『そういえば宏と剛さんまだ?』