自由を知らない男。

太陽との出会いは小学校のとき。

実際はクラスで名前だけの存在。
机と椅子だけの存在。

小さい頃から病気がちで、
病室の窓から眺める風景が太陽の世界だった。

友達は同じ病棟の子。
小学生にして、何人の友達と悲しい別れをしたのかわからない。

昨日みた笑顔が
今日みられない悲しみを
小さいながらにわかっていた。

父親は医者。
母親は太陽に付きっきりの主婦。

二人は一人息子を可愛がった。

小3で、一度学校に通ったとき
俺達と出会った。

宏のお祖父さんは病院の院長で、太陽の父親と知り合いだった。

一時の学校生活で
病院に戻って行った太陽と、
俺達は、たいして仲良くなれなかった。

中学に入って、
太陽の存在は相変わらずだった。

退院はしていたが、
親が学校に通わせることをためらっていた。

太陽の世界は、
自分の部屋の窓から見える風景に変わっただけ。

鳥かごの少年は
外の世界に興味を持った。

自由な鳥に



なりたかった。