『次は…俺?』

修の話に熱くなった春は急におとなしくなってそう言った。

『このバット、何に使うかわかるか?』

『…引っ掛け問題?ゴルフ?』

『野球。』
『そう、野球です…が、』

『なんだよ、普通じゃんか。』

『このバット、俺は何のために使おうとしてたでしょう。』
『野球。』
『はずれ。』
『ゴルフ。』
『馬鹿。』

『なんだよ、バットは野球以外に使っちゃ駄目なんだぞ!』
『正解。』

『なんなわけ?このクイズ。』

春と貴のクイズショーが終わろうとした。元気なく真剣に春は口を開いた。

『俺、学校辞めた。』

『なんで?!』

『野球出来なくなったから。』

『なんで?!』

『俺って出来る奴じゃん?』

『そうだっけ?』

『スカウトで野球部の有名高校行ったの覚えてねぇの?』

『冗談だよ、自慢すんなよ。修も春も。』

『…。』

『自分より出来る奴は潰してく方針の奴らがいるんだよ、どこにでも。』

『嫉妬?いじめ?』

『俺犠牲者。』

『お前いじめとかに負けるタイプじゃないと思ってた。』

『負けてないから!』

『じゃあ、どうして辞めた?』

『怪我。野球を真剣にやってくには致命的な怪我。』