授業中……





数学の授業を受けていたら、
突然机の中に入れていたスマホが震えだした。




マナーモードにしてるから
微かな振動だけなんだけど




先生が黒板に向かっているのを確認して、
画面を見れば、『着信 sumire』の表示。




今は授業中だよ。なにやってんのもう……




授業中だから電話出れないって
連絡しようと思うのに
切っても切っても電話が来るから
全然文字が打てない……!!




というか、もうこれって
出ないと終わらないパターン、?




授業はあと7分。……うん、微妙。





………、でるしかない、。





「先生ちょっとお手洗い行ってきます」




恥ずかしさを感じながらも先生に伝えて
トイレに向かう。




どういう話かわからないから、
人目のないとこかどうかを確かめてから
電話に出た。





お姉ちゃんは本名を明かしてないから、
私と妹というのも内緒にしてる。
知ってるのは、幼なじみの2人だけ。





「あー!やっと出た!」





もしもし、と言う暇もなく
お姉ちゃんの声が響く。





「……どうしたの?今授業中だからあんま長く話せないけど」





「あーそっか!今日学校ある日か!あのね、今日の14時から○○駅近くのカフェで撮影なの!監督がぜひそのシーンの中で感じたことを曲に入れてほしいって言うから、見学来てね!場所の詳細はLINEする!その後買い物行こ!久々に夕方前に仕事終わるから、服買いに行きたい!そろそろインスタに乗せる私服が尽きてきてさー。あ、もちろん李純のも買ってあげる!曲作ってくれる記念ねー!久しぶりにペアルックでもする?」





……つまり、?
私はとりあえず見学に行けばいいの?






「う、うん。とりあえず、そのカフェに行けばいい?」






「そー!よろしくねー待ってるから!あ、制服は着替えてきてね!身バレしちゃうから」






「わ、わかった」






「じゃあ撮影始まりそうだから切るね!あとでー!」





……切れた。まあ、もう慣れたけど、。





というか、、、






「……14時って、、、、あと1時間!?」






制服じゃダメなら家に帰って
私服に着替えなきゃいけない。

学校から家に行くのは40分くらいかかる。

……急いだとしても間に合わない可能性大、。


それに、学校早退じゃないとダメじゃん、。





タイミングよくなったチャイムを聞き、
急いで教室にもどる。

とりあえず必要なものだけカバンにつめて、
あとはもう知らん!!





「あ、李純どうしたの?」




杏里は同じ学校で同じクラス。




「お姉ちゃんに緊急招集されたから早退する!先生には体調不良とかテキトーに言っておいて!」




「え、あーわかった」




お姉ちゃんのこともよく知ってる杏里は、
お気の毒にとでも言ってそうな表情で
送り出してくれた。