「本社の新事業に参加します

行かない理由はなくなりましたし」

ああ、やっぱりか
全部理由を話したら、結衣ちゃんは俺のところに戻ってきてくれるだろうか・・・

「分かった・・・

信也、結衣ちゃん送ってくる
龍臣さん放置したままだし終わったら戻ってくるから」

和人に肩を叩かれ、2人が部屋を出ていく
テーブルの上に置かれたままの指輪を見て、目尻に溜まっていた涙が一気に零れ落ちる

結衣ちゃん・・・俺は、結婚しなきゃ良かったなんて1度も思ったことないよ

・・・その言葉すら口から出てこなくて
喉元でつっかえたまま、声にならず飲み込んだ