春色の屍 【完】




それから三日後の放課後、私は美術室へ向かった。

その途中、トイレで脂取り紙を三枚使って顔じゅうの脂を排除し、リップをぬり直した。
唇は気張りすぎていない淡いピンクに染まり、念入りにブラッシングした髪はさらりと光沢を放った。


深呼吸を、三回。

背筋をしゃんとして絵具のついた扉を開ければ、そこには美術部員と南先生、そして篁先輩がいた。
部員は見た目の印象通りもの静かで、先輩が大きな声で「よう、シャチ」と言っても微動だにしなかった。
消しゴムでカンバスをこする音しかしない。

南先生は化粧っ気のない顔で微笑み、美術部の活動について改めて説明してくれた。



活動は毎週、火曜日と金曜日の放課後。
デッサンがしたい子はデッサンを、油絵を描きたい子は油絵を描く。
文化祭では展示を行うが、点数は個人に任せるので1点でも10点でも構わない。
部活に来れないときは南先生に連絡する。

――以上。



なんとも自由な活動内容だった。
南先生の説明が終わると、篁先輩は私の隣に座った。

今日もまた、瞳は静かに燃えていた。