麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集

始まりの予感/その6
ケイコ


紅子さんこと、紅丸有紀はまさに”怪物”だった

家柄は由諸ある”お嬢さん”で外国育ち

中学上がってから帰国して、3か国語がペラペラ

身体能力も抜群で、乗馬と水泳は特にすごい腕前だよ

体もでかい!背は180㎝で女子プロレスラー並み

そんな紅子さんとの”偶然”の出いは、私が小5の時

確か真夏の暑い日だった

...


駅前でおばあさんがひったくりにあってね、バッグを

ちょうど私の5メートルほど前での出来事だった

二人乗りのバイクが逃げてったから、わたし追っかけたんだ

「ドロボー!捕まえてー!」って、大声出しながら

足は速い方で自信あったけど、さすがに追いつかないよ

そしたら、体のでかい女の人がバイクの前に立ちはだかってね

バランス崩したバイクは転倒した

逃げる二人のうちバッグ持ってた方を捕まえてね

あっという間に、大の男をヘッドロックでねじ伏せちゃって

周りもようやく気付いて、もう一人は何人かが追いかけてた

「はやく警察呼びな!もう一人はいいから!」

現場に追いついた私に、その女の人は冷静に指示

ジタバタもがいてる”犯人”の首ねっこ掴んでる

わー、でかいけど若いや!高校生じゃないの?

息ひとつ乱していない、割と幼い表情を鮮明に覚えてる

それが、”怪物”紅丸有紀、その人だった