始まりの予感/その2
ケイコ


やっぱメチャ早えーわ、亜咲さんのウシロ乗っかると

おかげで電車まで時間調整の余裕もある

亜咲さん、”いつも”ありがとう

では、缶コーヒでも飲んでくれ

みどりの窓口付近に立って、一口喉を潤してから亜咲さんが言った

「ごちそうさま、ケイちゃん。ところで聞いてなかったけど、今日、どこ行くの?なんか、おめかししてるじゃん」

「六本木。婚約パーティーに呼ばれてさ。紅子さんの」

「紅子?ああ、紅丸さんか!そうか、ケイちゃん、”あの時”以来の仲だもんね…」

「そうなんだよね、毎年クリスマスカードとかもらったりしてるしね…」

亜咲さんはニコッと笑って、私に尋ねた

「で、相手はどんな人?」

「外人さん。アメリカ人でドイツ系みたい。結婚したらロスに住むんだって」

そう言ったら、今度はきりっとした顔つきに変わった

「外国行っちゃうのかぁ。しかし、このタイミングだと結構微妙だな…」

へっ?それ、なんのことだ?