すると、その子達は気まずそうに視線をそらせる。


不機嫌そうに眉を寄せていた彼は、私に向き直り申し訳なさそうにささやいた。


「先輩、ごめん、ついてきて」


「あ、待って」


彼が私の腕を引いて歩き出したので、助けを求めるように優ちゃんを見た。


「優ちゃーん」


情けない声がでたけど、親友はやれやれて感じて微笑んでいる。


「ひよりちゃん次の授業はうまいこと言っとくから。顔の熱を冷ましてきなよ。
吉野くんなるべく早く解放してあげてね」


「はーい」


彼は素直に返事をしたけど、多分すぐには離してはくれないだろう。


こんな風に連れていかれることは以前にも一度あった。


2人きりになれる場所。


たぶん、今回もあそこに行くんだろうなって予想がつく。


わかっていながら、たいした抵抗もせずに彼の後をついて行った。


おそらく私はこの手を強く振りはらえそうにないんだ。


なぜかな、私は彼を完全には拒めないんだよね。