「吉野くんは私たちで面倒を見ますから部外者のお姉さまはお帰りください」


「……え」


なにこの人たち。今がどういう状況かわかってるのだろうか。


クラスメイトが体調が悪いっていうのに自分たちの感情を優先させるなんて。


どうにもやり場のない怒りがこみあげてくる。


だけど、ここで引き下がるわけには行かない気がした。


そして、気が付いたら叫んでいた。


「いい加減にしてっ、そこをどいてください」


一瞬、水を打ったように静まる教室。


それでも、不満げな反論が返ってきた。


「なによっ、なんの権限があってそんなこと言うんですか?」


「権限なんてありません、だけど私は……」


‘保健委員です‘


ううん、違うよねそうじゃない。


それだけじゃない。
 

こんな時、自分に逃げ場なんて作っちゃいけない。


覚悟を決めてすうっと息を吸い込んだ。


「私は吉野くんの彼女です」