いつのまにか、彼は私の中に棲みついていたのかな。


毎日、可愛いとか好きとか甘いことを言われているうちに、少しづつ彼を信じたくなる気持ちが生まれてきていた。


少なくとも彼は私のことを騙したりからかったりする人じゃないような気がした。


だったら、やっぱり私が飽きられちゃったってことか。


そうだよね、私といたって退屈なだけだろうし時間の無駄って気づいたのかも。


でももしそうだとしても。


「優ちゃん、私行ってくる」


「どこに?」


「確かめに行く、自分の目で」


ギュッと拳を握りしめて立ち上がった。


「へ?」


困惑したような表情を浮かべる優ちゃんを残して私は教室を飛び出していった。


1年生の教室のある3階へ向かって。



勢い込んできたものの1年生の教室の前の廊下を歩いていると緊張してきた。 


吉野くんのクラスってどこだろう。