「すみません。特に嫌いな食べ物も、苦手なものもないです。ごめんなさい」
せっかく聞いてくれたのに、ボーッとしてしまっていた。
「フッ……。そんなに謝らなくていい」
「はい……」
それからは、高橋さんに集中していたが、元々、そんなに口数の多い人ではないので、信号待ちで停まった時に、車の中で流れている音楽のサブウーハーの響きを感じながらフロント硝子に映る景色を眺めていた。
駐車場に高橋さんが車を停めてエンジンを切って鍵を抜くと、直ぐさまドアを開けて降りると、こちらに回ってきて助手席のドアを開けてくれた。
「すみません。ありがとうございます」
私が降りると、集中ドアロックで車のドアをロックさせた。
「こっち」
「はい」
高橋さんの後ろから歩いて付いていく。後ろ姿の高橋さんの背中は広くて大きい。夜だからかな。いつもより、後ろ姿も大きく見える。
「いらっしゃいませ」
「予約した高橋ですが」
予約?
「お待ちしておりました。どうぞ、こちらに」
案内されてお店の中に入ると、純和風の造りになっていて、入り口で靴を脱ぐようになっていた。
「こちらでございます」
案内された部屋は個室になっていて、真ん中に銅の鍋が置かれていた。
「今、お茶とおしぼりをお持ちしますので」
そう言ってお店の人が出て行く時に、格子戸を閉めていった。
な、何だか凄いな。
「鶏料理は好きか?」
鶏料理?
「はい。大好きです。お肉の中で、鶏肉が一番好きかもしれません」
「そう。それなら良かった。少し栄養補給しないとな」
「え、栄養補給?」
「それに、美容にもいい」
「美容? ですか? あの、鶏料理って美容にもいいんですか?」
「まあな。普通の鶏鍋じゃないから、此処のは」
エッ……。
「普通の鶏鍋じゃないって、あの……どんなお鍋なんですか?」
「まだ、秘密」
ひ、秘密って、高橋さん。
高橋さんは悪戯っぽく笑うと、一瞬だけ舌を出して見せた。
な、何? 何、このお茶目な高橋さんは。
「何で、今日は今朝から機嫌が悪かったんだ?」
「えっ?」
高橋さんのお茶目な一面が見られて密かに喜んでいたのだが、次ぎの瞬間、唐突にそんなことを問われていた。
「そ、そんなことないですよ。でも、もしそんな風に見えたのでしたら、ごめんなさい。不快な思いをさせてしまって……」
「別に謝ることはないさ。多かれ少なかれ、誰だって波がある。それを上手くコントロール出来るのがベストだが、なかなかわかっていても出来ないのが人間で、でもそれがまた人間の面白いところでもある」
せっかく聞いてくれたのに、ボーッとしてしまっていた。
「フッ……。そんなに謝らなくていい」
「はい……」
それからは、高橋さんに集中していたが、元々、そんなに口数の多い人ではないので、信号待ちで停まった時に、車の中で流れている音楽のサブウーハーの響きを感じながらフロント硝子に映る景色を眺めていた。
駐車場に高橋さんが車を停めてエンジンを切って鍵を抜くと、直ぐさまドアを開けて降りると、こちらに回ってきて助手席のドアを開けてくれた。
「すみません。ありがとうございます」
私が降りると、集中ドアロックで車のドアをロックさせた。
「こっち」
「はい」
高橋さんの後ろから歩いて付いていく。後ろ姿の高橋さんの背中は広くて大きい。夜だからかな。いつもより、後ろ姿も大きく見える。
「いらっしゃいませ」
「予約した高橋ですが」
予約?
「お待ちしておりました。どうぞ、こちらに」
案内されてお店の中に入ると、純和風の造りになっていて、入り口で靴を脱ぐようになっていた。
「こちらでございます」
案内された部屋は個室になっていて、真ん中に銅の鍋が置かれていた。
「今、お茶とおしぼりをお持ちしますので」
そう言ってお店の人が出て行く時に、格子戸を閉めていった。
な、何だか凄いな。
「鶏料理は好きか?」
鶏料理?
「はい。大好きです。お肉の中で、鶏肉が一番好きかもしれません」
「そう。それなら良かった。少し栄養補給しないとな」
「え、栄養補給?」
「それに、美容にもいい」
「美容? ですか? あの、鶏料理って美容にもいいんですか?」
「まあな。普通の鶏鍋じゃないから、此処のは」
エッ……。
「普通の鶏鍋じゃないって、あの……どんなお鍋なんですか?」
「まだ、秘密」
ひ、秘密って、高橋さん。
高橋さんは悪戯っぽく笑うと、一瞬だけ舌を出して見せた。
な、何? 何、このお茶目な高橋さんは。
「何で、今日は今朝から機嫌が悪かったんだ?」
「えっ?」
高橋さんのお茶目な一面が見られて密かに喜んでいたのだが、次ぎの瞬間、唐突にそんなことを問われていた。
「そ、そんなことないですよ。でも、もしそんな風に見えたのでしたら、ごめんなさい。不快な思いをさせてしまって……」
「別に謝ることはないさ。多かれ少なかれ、誰だって波がある。それを上手くコントロール出来るのがベストだが、なかなかわかっていても出来ないのが人間で、でもそれがまた人間の面白いところでもある」

