「今、仮配属ですが、本配属になっても私……」
「ああ。そういえば、昨日、ダンケに居たな」
「えっ? あっ……」
バ、バレてる。
「何で、隠れたりした?」
「あの、そ、それは、その……」
どうしよう。知ってたんだ。ダンケに神田さんと居たこと。
「まあ、でもそうだよな。仕事終わってプライベートな時間まで、上司の顔は見たくないよな」
何で? 高橋さんの顔を見たくない? 私が?
「違います……」
「ん?」
通らない私の声は、周りの雑音にかき消されて、高橋さんに私の声は届いていなかったらしい。
「そんなんじゃ、ありません。そんなんじゃ……」
「じゃあ、何なんだ?」
鋭い視線が注がれ、本配属の件で聞こうとしていたのに、逆に高橋さんに聞き返されてしまった。
「それは……」
自分でも、よくわからなかった。昨日、何で隠れたりしたのか。もう勤務中ではなかったのだから、別段隠れる必要もなかったのに。高橋さんを待っていた人が、女性だったから?しかし、それは私には関係ない話で、高橋さんだって待ち合わせぐらいする。親しげに話していた女性。高橋さんに彼女が居たっておかしくないと、昨日も感じていた。だけど……。どうしてこんなに高橋さんのことが、気になるのだろう。
「何か、仕事に不満でもあるのか?」
「えっ?」
高橋さん……。
「仕事に不満だなんて……。そんなこと思ったこともないです」
「本当か? 正直に言っていいんだぞ?」
「そんな……。高橋さん。私、本当に仕事に不満なんてまったくないです。私は、ただ……」
胸がいっぱいになって俯いた途端、涙が膝にこぼれ落ちた。
ショックだった。高橋さんに、そんな風に思われていたなんて。そんな不満そうな顔していたんだろうか。会計の仕事を覚えようと、毎日必死だった。不満なんて、思い浮かぶほどの余裕すらない。それどころか、覚えが悪い自分が情けなくて仕方がなかったのに、それなのに……。
「今晩、仕事終わってから、時間あるか?」
エッ……。
その声に顔を上げると、目の前にハンカチが差し出されていた。
「ああ、声に出さなくていい。もし、時間があるなら、受け取って涙を拭いて」
どうしよう。終わってから何も用事はないけれど、だけど……。
「ああ。そういえば、昨日、ダンケに居たな」
「えっ? あっ……」
バ、バレてる。
「何で、隠れたりした?」
「あの、そ、それは、その……」
どうしよう。知ってたんだ。ダンケに神田さんと居たこと。
「まあ、でもそうだよな。仕事終わってプライベートな時間まで、上司の顔は見たくないよな」
何で? 高橋さんの顔を見たくない? 私が?
「違います……」
「ん?」
通らない私の声は、周りの雑音にかき消されて、高橋さんに私の声は届いていなかったらしい。
「そんなんじゃ、ありません。そんなんじゃ……」
「じゃあ、何なんだ?」
鋭い視線が注がれ、本配属の件で聞こうとしていたのに、逆に高橋さんに聞き返されてしまった。
「それは……」
自分でも、よくわからなかった。昨日、何で隠れたりしたのか。もう勤務中ではなかったのだから、別段隠れる必要もなかったのに。高橋さんを待っていた人が、女性だったから?しかし、それは私には関係ない話で、高橋さんだって待ち合わせぐらいする。親しげに話していた女性。高橋さんに彼女が居たっておかしくないと、昨日も感じていた。だけど……。どうしてこんなに高橋さんのことが、気になるのだろう。
「何か、仕事に不満でもあるのか?」
「えっ?」
高橋さん……。
「仕事に不満だなんて……。そんなこと思ったこともないです」
「本当か? 正直に言っていいんだぞ?」
「そんな……。高橋さん。私、本当に仕事に不満なんてまったくないです。私は、ただ……」
胸がいっぱいになって俯いた途端、涙が膝にこぼれ落ちた。
ショックだった。高橋さんに、そんな風に思われていたなんて。そんな不満そうな顔していたんだろうか。会計の仕事を覚えようと、毎日必死だった。不満なんて、思い浮かぶほどの余裕すらない。それどころか、覚えが悪い自分が情けなくて仕方がなかったのに、それなのに……。
「今晩、仕事終わってから、時間あるか?」
エッ……。
その声に顔を上げると、目の前にハンカチが差し出されていた。
「ああ、声に出さなくていい。もし、時間があるなら、受け取って涙を拭いて」
どうしよう。終わってから何も用事はないけれど、だけど……。

