慌てて、折原さんの腕を掴んだ。
「折原さんは、一緒に帰らないんですか? 高橋さんと……その……」
「私は、いいわ。矢島さん。チャンスだから、高橋にいっぱい質問しちゃいなさいね」
質問?
「質問って……」
「聞きたいことが、山ほどあるんじゃないの? 高橋のプライベートとか、彼女の事とか……」
「嫌だ。折原さん。何、言ってるんですか。やめて下さい」
「そう? でも、楽しそう」
た、楽しそうって。
「折原さん!」
「じゃあ、お疲れ様」
あっ……。
隙を突かれて、折原さんに振り切られて行かれてしまった。
どうしよう。折原さんが、あんなこと言うから、変に意識しちゃうじゃない。
着替え終わって病院から出ると、ちょうど十二時を過ぎたところだった。駐車場で高橋さんが待ってると、折原さんは言っていたけれど、その駐車場が広すぎて……。おまけに、高橋さんの車がどれだかわからない。困ったなあ……。
朝の記憶を頼りに、駐車場内をうろうろしていると、後ろから声がした。
「何処まで行っちゃうんだ?」
えっ?
振り返ると、何となく見覚えのある車の運転席のドアに、腕を組んで左肩をもたれかけながら高橋さんが立っていた。
「すみません。高橋さんの車が、何処に駐めてあるかわからなくなっちゃって、それで遅くなってしまって……」
きっと、かなり待たせてしまったかもしれない。忙しい高橋さんなのに……。そう思ったら、申し訳ない気持ちでいっぱいになって、言いながら俯いてしまっていた。
「待ち疲れちゃったよ、迷子ちゃん」
ま、迷子ちゃん?
顔をあげると、そこにはかがみながら視線を私に合わせ、悪戯っぽく笑っている高橋さんの顔があった。
ち、近過ぎですって、高橋さん。
恥ずかしくて、視線を合わせられない。
「さて、この待たせた時間の落とし前は、どうしてくれる?」
ど、どうしてくれる? って、そんな小首を傾げられても……。もしかして、彼女とのデートの時間に間に合わなかったとか? それだったら、本当に申し訳ない限りだ。
「あ、あの、高橋さん。本当に、申し訳ありませんでした。わ、私、その……。で、電車で帰りますから。高橋さん。どうぞ、素敵な休日をお過ごし下さい。し、失礼します」
早くこの場を立ち去りたくて、言い終えるか、終えないかのうちに、踵を返して走り出そうと一歩踏み出していた。
「待てよ」
うわっ。
しかし、走り出そうとした途端、高橋さんに手首を捕まれてしまっていた。
「すみません。ほ、本当に申し訳ありませんでした。あ、ああ、あの……」
「落ち着け。取って食ったりしないから、安心しろ」
えっ?
高橋さんの顔を見ると、先ほどとは違って優しい眼差しで微笑みながら、髪を掻き上げていたが、ちょうど後ろから陽の光を浴びているので、髪の色が茶色く光っていた。高橋さんの髪の毛は、サラッとした髪質なので、掻き上げた仕草と茶色に光っている髪が眩しく私の瞳に映り、思わず目を細めてしまった。
「折原さんは、一緒に帰らないんですか? 高橋さんと……その……」
「私は、いいわ。矢島さん。チャンスだから、高橋にいっぱい質問しちゃいなさいね」
質問?
「質問って……」
「聞きたいことが、山ほどあるんじゃないの? 高橋のプライベートとか、彼女の事とか……」
「嫌だ。折原さん。何、言ってるんですか。やめて下さい」
「そう? でも、楽しそう」
た、楽しそうって。
「折原さん!」
「じゃあ、お疲れ様」
あっ……。
隙を突かれて、折原さんに振り切られて行かれてしまった。
どうしよう。折原さんが、あんなこと言うから、変に意識しちゃうじゃない。
着替え終わって病院から出ると、ちょうど十二時を過ぎたところだった。駐車場で高橋さんが待ってると、折原さんは言っていたけれど、その駐車場が広すぎて……。おまけに、高橋さんの車がどれだかわからない。困ったなあ……。
朝の記憶を頼りに、駐車場内をうろうろしていると、後ろから声がした。
「何処まで行っちゃうんだ?」
えっ?
振り返ると、何となく見覚えのある車の運転席のドアに、腕を組んで左肩をもたれかけながら高橋さんが立っていた。
「すみません。高橋さんの車が、何処に駐めてあるかわからなくなっちゃって、それで遅くなってしまって……」
きっと、かなり待たせてしまったかもしれない。忙しい高橋さんなのに……。そう思ったら、申し訳ない気持ちでいっぱいになって、言いながら俯いてしまっていた。
「待ち疲れちゃったよ、迷子ちゃん」
ま、迷子ちゃん?
顔をあげると、そこにはかがみながら視線を私に合わせ、悪戯っぽく笑っている高橋さんの顔があった。
ち、近過ぎですって、高橋さん。
恥ずかしくて、視線を合わせられない。
「さて、この待たせた時間の落とし前は、どうしてくれる?」
ど、どうしてくれる? って、そんな小首を傾げられても……。もしかして、彼女とのデートの時間に間に合わなかったとか? それだったら、本当に申し訳ない限りだ。
「あ、あの、高橋さん。本当に、申し訳ありませんでした。わ、私、その……。で、電車で帰りますから。高橋さん。どうぞ、素敵な休日をお過ごし下さい。し、失礼します」
早くこの場を立ち去りたくて、言い終えるか、終えないかのうちに、踵を返して走り出そうと一歩踏み出していた。
「待てよ」
うわっ。
しかし、走り出そうとした途端、高橋さんに手首を捕まれてしまっていた。
「すみません。ほ、本当に申し訳ありませんでした。あ、ああ、あの……」
「落ち着け。取って食ったりしないから、安心しろ」
えっ?
高橋さんの顔を見ると、先ほどとは違って優しい眼差しで微笑みながら、髪を掻き上げていたが、ちょうど後ろから陽の光を浴びているので、髪の色が茶色く光っていた。高橋さんの髪の毛は、サラッとした髪質なので、掻き上げた仕草と茶色に光っている髪が眩しく私の瞳に映り、思わず目を細めてしまった。

