「嘘!」
その時、誰かの声がして我に返って顔を上げると、かつて、自分が本配属先の辞令をもらった時と同じ会議室に電話で呼ばれたのだろう。顔面蒼白になりながら、ノックをして入っていく姿が見えた。
辞令交付が始まったんだ。
高橋さん……。
該当者の所属に次々と電話をしている福本さんの声を聞きながら、その中に高橋さんの名前を口にしている電話があったかどうか分からなかった。もしかしたら、電話に出ていて聞き逃してしまっていたのかもしれない。それから、ずっと2時間位会議室に出入りする人達が気になって仕方がなかった。
しかし、周りの人の声が今までの驚いた声とはトーンが違って、悲鳴を押し殺したような声が聞こえてきて、その様子に何か確信めいたものを感じて顔を上げると、そこには高橋さんの姿があった。そして、何の躊躇いもなくノックをすると、高橋さんはドアを開けて会議室の中に入っていってしまった。
久しぶりに見た高橋さんの姿。せっかく高橋さんが人事部に来てくれたのに。けれど人事部に来た理由は、思いも寄らないことで……。
いろんなことが頭を巡っていて、そうこうしているうちに高橋さんが会議室から出て来てしまった。
「矢島さん。高橋さんに、この書類を渡してきて」
「えっ?」
「あの人、忙しいからなかなか捕まらないと思うから。今から渡しておいた方が安心だから」
「で、でも、あの……浦田さん」
「さっき言ったとおりのことを、説明してくればいいから。ちゃんと説明も聞いて欲しいから、経理のデスクまで追いかけていっていいから落ち着いて話してきて。もし、説明以外のことで、わからないことがあったら人事の浦田に電話してと伝えてね。さあ、行って」
「は、はい」
急いで高橋さん宛の封筒を掴んで手帳を持って、エレベーターホールに向かって走り出した。
すると、エレベーターが18階に到着した音が、エレベーターホールに着く手前で鳴っているのが聞こえ、エレベーターホールに着くとドアが閉まりかけているのが見えた。間に合わないと思ったが、一か八か、上矢印のボタンを押すと、一旦閉まり掛けたドアが再度開いた。
間に合って、良かった。
その時、誰かの声がして我に返って顔を上げると、かつて、自分が本配属先の辞令をもらった時と同じ会議室に電話で呼ばれたのだろう。顔面蒼白になりながら、ノックをして入っていく姿が見えた。
辞令交付が始まったんだ。
高橋さん……。
該当者の所属に次々と電話をしている福本さんの声を聞きながら、その中に高橋さんの名前を口にしている電話があったかどうか分からなかった。もしかしたら、電話に出ていて聞き逃してしまっていたのかもしれない。それから、ずっと2時間位会議室に出入りする人達が気になって仕方がなかった。
しかし、周りの人の声が今までの驚いた声とはトーンが違って、悲鳴を押し殺したような声が聞こえてきて、その様子に何か確信めいたものを感じて顔を上げると、そこには高橋さんの姿があった。そして、何の躊躇いもなくノックをすると、高橋さんはドアを開けて会議室の中に入っていってしまった。
久しぶりに見た高橋さんの姿。せっかく高橋さんが人事部に来てくれたのに。けれど人事部に来た理由は、思いも寄らないことで……。
いろんなことが頭を巡っていて、そうこうしているうちに高橋さんが会議室から出て来てしまった。
「矢島さん。高橋さんに、この書類を渡してきて」
「えっ?」
「あの人、忙しいからなかなか捕まらないと思うから。今から渡しておいた方が安心だから」
「で、でも、あの……浦田さん」
「さっき言ったとおりのことを、説明してくればいいから。ちゃんと説明も聞いて欲しいから、経理のデスクまで追いかけていっていいから落ち着いて話してきて。もし、説明以外のことで、わからないことがあったら人事の浦田に電話してと伝えてね。さあ、行って」
「は、はい」
急いで高橋さん宛の封筒を掴んで手帳を持って、エレベーターホールに向かって走り出した。
すると、エレベーターが18階に到着した音が、エレベーターホールに着く手前で鳴っているのが聞こえ、エレベーターホールに着くとドアが閉まりかけているのが見えた。間に合わないと思ったが、一か八か、上矢印のボタンを押すと、一旦閉まり掛けたドアが再度開いた。
間に合って、良かった。

