「私に言ったのではないとおっしゃるのでしたら、他に此処に居るのは、中原と矢島さんしかおりません。どちらも私の部下です。私が一番信頼している部下2人です。その2人を使える人材か使えない人材かと勝手に黒沢さんに判断される謂われはありません」
「……申し訳……ありませんでした。失礼します」
黒沢さんは、小さな声でそう言うと、足早に自分の席へと戻っていってしまった。
「高橋さん」
何事もなかったように自分の席に戻って、机の上のメモに目を通していた高橋さんを中原さんが呼ぶと、高橋さんが視線を上げた。
「それなら、何故……何故、矢島さんを会計から……」
「人事は、人事だ」
「でも、高橋さんに意向も言えるはずですよね?」
「中原。人事は人事だ。それ以上のことは言えない」
高橋さん。それ以上のことは言えないってことは、知ってるってことなの? 高橋さんは、本配属が決まった内情を知っているのかもしれない。だけど、話してくれることは恐らくないと思う。
ひとつ大きな溜息をついて、気を取り直して荷物整理を始めた。
高橋さんは、月曜日の朝に人事に持ってきてくれると言ってくれたが、何となく自分の荷物は自分で整理して持って帰りたかった。そして、新たな気持ちで月曜日から仕事に来たいと思えた。否、そう思いたかった。少しでも、この場所との区切りをつけたい気持ちが勝っているから。そうでもしないと、この現実を受け入れるにはあまりにも哀しくて泣いてしまいそうだったから。
「……申し訳……ありませんでした。失礼します」
黒沢さんは、小さな声でそう言うと、足早に自分の席へと戻っていってしまった。
「高橋さん」
何事もなかったように自分の席に戻って、机の上のメモに目を通していた高橋さんを中原さんが呼ぶと、高橋さんが視線を上げた。
「それなら、何故……何故、矢島さんを会計から……」
「人事は、人事だ」
「でも、高橋さんに意向も言えるはずですよね?」
「中原。人事は人事だ。それ以上のことは言えない」
高橋さん。それ以上のことは言えないってことは、知ってるってことなの? 高橋さんは、本配属が決まった内情を知っているのかもしれない。だけど、話してくれることは恐らくないと思う。
ひとつ大きな溜息をついて、気を取り直して荷物整理を始めた。
高橋さんは、月曜日の朝に人事に持ってきてくれると言ってくれたが、何となく自分の荷物は自分で整理して持って帰りたかった。そして、新たな気持ちで月曜日から仕事に来たいと思えた。否、そう思いたかった。少しでも、この場所との区切りをつけたい気持ちが勝っているから。そうでもしないと、この現実を受け入れるにはあまりにも哀しくて泣いてしまいそうだったから。

