「ん? 何で謝る?」
車を停めてサイドブレーキを左足で踏み込む音が聞こえ、高橋さんがハンドルから手を離すと、そう問い掛けながらこちらを見た。
「その……」
「お前は、そのままでいい。人との関係は協調性も大事だが、自分らしさをなくしては個性がなくなる。お前はあまり話題がないと言ったが、俺はそんな風に感じたことはない」
「高橋さん」
「まあ、最も、その個性的な存在そのものが、自然に話題提供してると言っても過言じゃないが」
「た、高橋さん!」
「はい」
むきになって高橋さんの名前を呼んだが、何故かいつも『はい』と返事をされてしまい、そのあとの言葉が続かなくなってしまう。狡い、高橋さん。
「ハハハッ……」
口を尖らせていた私を見ながら、高橋さんは運転席から降りて車の後ろに行ってしまった。煙草でも吸うのかな? と思っていると、いきなり助手席のドアが開いたので驚いて身構えてしまった。
「そんなに、驚くことでもないだろう」
そうか。もう着いてしまったんだ。何だか、車から降りるのがもったいというか、まだ降りたくない気分だった。このまま、まだ高橋さんと話していたい。話すといっても、あまり話題がないから会話が弾むというわけではないけれど。それでもいいとさえ、思っていた。でも降りなきゃ。明日も仕事だし、高橋さんだってこれから家に帰らなければならないんだし……。
「す、すみません。ありがとうございます」
助手席から降りて高橋さんの横に立ったが、身長差があるので、つい高橋さんを見上げてしまう。
「今日は、ありがとう。楽しかった」
エッ……。
「そ、そんな、こちらこそ、誘って下さって、ありがとうございました。ご馳走様でした」
「それじゃ、また明日」
「あの……」
運転席に戻ろうとした高橋さんに話し掛けたので、高橋さんのジャケットの裾が綺麗なサークルを描くように翻り、その光景のあまりの綺麗さに目を見張ってしまった。
「何だ?」
「あっ、すみません。あの、今日の食事代を……」
言いながら、バッグからお財布を探して出そうとしていた私の手を、上から高橋さんが軽く押さえつけた。
その行動に驚いて、心臓が停まりそうになりながら高橋さんを見上げると、黙って首を横に振った。
「中原にも貰ってないから」
「でも……」
「いいんだ。そんなことより、明日も元気に会社に来てくれ」
「高橋さん……」
「返事は?」
「は、はい」
「良く出来きました」
そう言って、高橋さんは少し屈むと、微笑みながら私の頭を左手で撫でた。
ち、近過ぎですって、高橋さん。
どうしよう。まだドキドキしてる。高橋さんに頭を撫でられるなんて……。
「それじゃ、おやすみ」
車を停めてサイドブレーキを左足で踏み込む音が聞こえ、高橋さんがハンドルから手を離すと、そう問い掛けながらこちらを見た。
「その……」
「お前は、そのままでいい。人との関係は協調性も大事だが、自分らしさをなくしては個性がなくなる。お前はあまり話題がないと言ったが、俺はそんな風に感じたことはない」
「高橋さん」
「まあ、最も、その個性的な存在そのものが、自然に話題提供してると言っても過言じゃないが」
「た、高橋さん!」
「はい」
むきになって高橋さんの名前を呼んだが、何故かいつも『はい』と返事をされてしまい、そのあとの言葉が続かなくなってしまう。狡い、高橋さん。
「ハハハッ……」
口を尖らせていた私を見ながら、高橋さんは運転席から降りて車の後ろに行ってしまった。煙草でも吸うのかな? と思っていると、いきなり助手席のドアが開いたので驚いて身構えてしまった。
「そんなに、驚くことでもないだろう」
そうか。もう着いてしまったんだ。何だか、車から降りるのがもったいというか、まだ降りたくない気分だった。このまま、まだ高橋さんと話していたい。話すといっても、あまり話題がないから会話が弾むというわけではないけれど。それでもいいとさえ、思っていた。でも降りなきゃ。明日も仕事だし、高橋さんだってこれから家に帰らなければならないんだし……。
「す、すみません。ありがとうございます」
助手席から降りて高橋さんの横に立ったが、身長差があるので、つい高橋さんを見上げてしまう。
「今日は、ありがとう。楽しかった」
エッ……。
「そ、そんな、こちらこそ、誘って下さって、ありがとうございました。ご馳走様でした」
「それじゃ、また明日」
「あの……」
運転席に戻ろうとした高橋さんに話し掛けたので、高橋さんのジャケットの裾が綺麗なサークルを描くように翻り、その光景のあまりの綺麗さに目を見張ってしまった。
「何だ?」
「あっ、すみません。あの、今日の食事代を……」
言いながら、バッグからお財布を探して出そうとしていた私の手を、上から高橋さんが軽く押さえつけた。
その行動に驚いて、心臓が停まりそうになりながら高橋さんを見上げると、黙って首を横に振った。
「中原にも貰ってないから」
「でも……」
「いいんだ。そんなことより、明日も元気に会社に来てくれ」
「高橋さん……」
「返事は?」
「は、はい」
「良く出来きました」
そう言って、高橋さんは少し屈むと、微笑みながら私の頭を左手で撫でた。
ち、近過ぎですって、高橋さん。
どうしよう。まだドキドキしてる。高橋さんに頭を撫でられるなんて……。
「それじゃ、おやすみ」

