そのトロフィーを社長から高橋さんが受け取り握手を交わすと、割れんばかりの拍手が起きた。そして、社長が後ろを向いて副賞の商品券の目録を受け取っていると、何故か、その隙に高橋さんは大股で右足だけステージから降りると、経理のテーブルの一番前に座っていた女子に何か話しかけて、ステージにその女子も上がってきた。
「本間?」
あの人、本間さんって言うんだ。
「あいつ、何、やってんだ?」
そして、社長が副賞の目録を手渡そうとすると、高橋さんが本間さんの背中をそっと押して一歩前に出させ、副賞の目録を本間さんが受け取った。
高橋さん……。
「高橋さんらしいな。副賞は経理の女子に受け取らせるなんて、憎い演出だよ」
中原さんと、同じ事を感じていた。
「もう一度、皆さん。大きな拍手をお願いします」
司会進行者の声掛けで、再度大きな拍手が巻き起こると、本間さんが両手で掲げた目録を180度動かして見せ、高橋さんがお辞儀をすると、慌てて一緒にお辞儀をしてステージを降りてきた。
泣き笑いになりながら、中原さんと一緒に拍手を送る。
「良かった。本当に……」
「良かったな。やっぱり、高橋さんは凄いよ」
「そうですね」
トロフィーを経理部長のテーブルの前で手渡している高橋さんを見ながら、その存在は、離れている経理部長のテーブルとの距離よりも、もっともっと遠くに感じていた。上司なのに。そう。高橋さんは、私の上司で……。
「どうかした?」
エッ……。
「い、いえ。何でもないです」
「あっ、戻ってきた」
中原さんの視線の先を見ると、高橋さんが座っている経理の人達から握手攻めにあいながら、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。
謝らなくては。高橋さんに、謝らないと……。
「ただいま」
その声を聞いて、安心出来るのは何故だろう。
「おめでとうございます」
「ありがとう」
「高橋さん。流石ですね」
「いや、たまたま運が良かっただけだ。計算のフィニッシュは、完全に負けていた」
「ですが、問題の数も数字の桁数も多いんですから。フィニッシュも、ほぼ同時でしたし……」
「そんなことは、問題じゃない。ハンディを了承したのは、俺なんだから」
高橋さん……。
「タッチの差で勝てたのは、本当に運が良かっただけだ。まあ、勝てたから良かった」
そう言いながら、高橋さんは中原さんが注いでくれたビールのグラスを置くと、中原さんのグラスにビールを注いでいた。
「矢島さんは? ウーロン茶でいい?」
「本間?」
あの人、本間さんって言うんだ。
「あいつ、何、やってんだ?」
そして、社長が副賞の目録を手渡そうとすると、高橋さんが本間さんの背中をそっと押して一歩前に出させ、副賞の目録を本間さんが受け取った。
高橋さん……。
「高橋さんらしいな。副賞は経理の女子に受け取らせるなんて、憎い演出だよ」
中原さんと、同じ事を感じていた。
「もう一度、皆さん。大きな拍手をお願いします」
司会進行者の声掛けで、再度大きな拍手が巻き起こると、本間さんが両手で掲げた目録を180度動かして見せ、高橋さんがお辞儀をすると、慌てて一緒にお辞儀をしてステージを降りてきた。
泣き笑いになりながら、中原さんと一緒に拍手を送る。
「良かった。本当に……」
「良かったな。やっぱり、高橋さんは凄いよ」
「そうですね」
トロフィーを経理部長のテーブルの前で手渡している高橋さんを見ながら、その存在は、離れている経理部長のテーブルとの距離よりも、もっともっと遠くに感じていた。上司なのに。そう。高橋さんは、私の上司で……。
「どうかした?」
エッ……。
「い、いえ。何でもないです」
「あっ、戻ってきた」
中原さんの視線の先を見ると、高橋さんが座っている経理の人達から握手攻めにあいながら、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。
謝らなくては。高橋さんに、謝らないと……。
「ただいま」
その声を聞いて、安心出来るのは何故だろう。
「おめでとうございます」
「ありがとう」
「高橋さん。流石ですね」
「いや、たまたま運が良かっただけだ。計算のフィニッシュは、完全に負けていた」
「ですが、問題の数も数字の桁数も多いんですから。フィニッシュも、ほぼ同時でしたし……」
「そんなことは、問題じゃない。ハンディを了承したのは、俺なんだから」
高橋さん……。
「タッチの差で勝てたのは、本当に運が良かっただけだ。まあ、勝てたから良かった」
そう言いながら、高橋さんは中原さんが注いでくれたビールのグラスを置くと、中原さんのグラスにビールを注いでいた。
「矢島さんは? ウーロン茶でいい?」

