たった一人、君に恋して



 この手の温もりが好きだった。

 
 初めての時は、手をつないで歩くことに慣れなかったが、今ではこの左手がないと落ち着かない。


 亮太の初めての彼女は、私ではない。


 きっと、これまでにも何度も他の女の子の手を握ってきたのだろう。


 私は初めてだけど、亮太にとってこんなことは全て慣れきったことなのだ。


 それが少し、悲しかった。


 初めての時は、どんな風に手をつないだのかな。


「実桜ー! 最初にラーメンチケット買うんだって!! あっちだ!」


「亮太くん、テンション高いね」


「早く行こう!」


 普段は年上らしく振る舞うことの多い亮太だったが、自分の好きな物の時は本当に無邪気だった。


 口を大きく開けて笑うし、声も大きくなる。