たった一人、君に恋して




「あ、先輩。実桜も一緒に行こう!」


「あ、うん・・・!」


 本当はあまり飲み会という場が好きではない。


 人は多いしガヤガヤしていてうるさいし、会話もろくに聞こえやしない。


 でも、歌織のいないテーブルで座っているのも退屈だ。


 私と歌織は二つ隣のテーブルに移動した。


 声をかけてきたヤマト先輩と、その横にはヤマト先輩の彼女のハナミさんがいた。


 あともう一人、知らない男の人がいた。


 多分、他大学の人だろう。


 大学に入り、明るく髪を染めた男の人が多い中、彼は黒髪で短髪だった。


 きっちりと襟のついたシャツにチェックの細身のパンツを履いている。


「ああ~歌織ちゃん、実桜ちゃん!」


「ハナミさん、お久しぶりです」


「どうも・・・」


 ヤマト先輩はこのサークルの幹部でいろいろな活動の中心的人物だった。


「あ、紹介するね。これはO大のリョウタ! 2回生だよ」


「どうも。リョウタです。よろしくね」