笑う門には"フク"来る?!

後ろを振り向くと、"フク"そう呼ばれた彼と目があった。


隣の席の男子とは正反対に、落ち着いた黒色の髪に切長な目。


うわっ!タイプの違うクールイケメン!!


「……。」


"フクくん"は前髪から覗く切長な目が私を捉えて離さない。


「……。」


「あ、雨で慣れちゃってさ。いやー、こんなに晴れるとは思ってなくてね!もう少し待っていれば良かった!
けど、びしょ濡れのおかげで、こうして2人と話すきっかけができたわけで、ある意味ラッキーだよねっ!」


心を見透かすような目と沈黙に耐えられずに、ベラベラと口が喋り出す。


「…そんなのアンラッキーじゃん。」


うぅ…。冷静に否定されると気まずい。


「吹空〜。この子も困ってるだろ。けど、俺はそのポジティブシンキング好きだよ〜」


隣の席の男子が助け舟を出してくれる。


「あ、俺は須崎樹(スザキ イツキ)。そんでこいつが藤原吹空(フジワラ フク)。」


「佐々木柚(ササキ ユズ)。宜しくね。」


樹くんは終始笑顔だったが、吹空くんは相変わらずすまし顔。


その時チャイムが鳴り、おしゃべりしていたクラスメイトも自席に戻って行く。


…吹空くんは苦手なタイプかも。