もらって欲しかった人に渡せるなんて、今年の私はツイてるかもしれない。



「どうぞ」なんて言ってぎこちなくチョコを前に出して西野くんに渡すと、満面の笑みでありがとうなんて言って両手で丁寧にもらってくれた。




でも、好きな人に渡せた嬉しさと…



チョコを渡しても私の想いは伝わらない切なさ…





なんだか複雑な気持ちになりながらも今こうして貴方が目の前にいるこの幸せな空間を噛み締めていると、




不意に西野くんが真剣な顔をして、
「俺、好きなんだよね」とボソッと呟いた。