頭が真っ白になった。想像もつかなかった言葉をさくらが発して、冗談を言っているとは思えない顔で
『ホントなの。若年性アルツハイマーっていう病気。』
テレビやドラマで何度か耳にしたことがある若年性アルツハイマー。どんな病気かは正直思い出せないけど。
『少しずつ記憶が低下していく病気。
はっきりした治療法は無いし、進行性のある病気だから近いうちに結城のことはもちろん、自分のことも忘れちゃうし、日常生活にも支障が出る』
俺の脳みそだけでは理解が追いつかないことばかりをポンポンとさくらが言うので俺は
『何か出来ること、ある?』
そんな無責任なことしかいえなかった。
『綺麗なままでいたい。結城と出会って良かったってほんとに思ってる。覚えているうちにさよならしたいの。』
何度も言葉を詰まらせて1個1個伝えてくるさくらの目は涙で光っていた。
『それだけは無理だよ。』
好きな奴の気持ちを尊重するのが男の勤め。
何度も父から教えて貰ってきたけど、これだけはこれだけは死んでも聞いてやれない。
『お願い結城。結城にはこれからがある。
10年、20年、その先もっと生きていかないといけないの、いつどうなるか分からない私と一緒になんて居ちゃいけない。』
さくらは本気だった。覚悟を決めた目で俺の手を強く握りながら説得してくるけど頑固な俺はそのお願いだけは聞いてやれない。辛いのはさくらだ。俺じゃない。グッと涙をこらえてさくらの右腕を強く引っ張り抱きしめた。
さくらは声にして泣き出した。
結城、結城。俺の名前を何度も呼んで、1度大きな深呼吸をしたあとさくらは言った。
『結城、好きだよ』
言葉を詰まらせて何度も好きだと伝えてくれた。それに答えるようにして強く抱きしめる。
『忘れたくない。忘れたくないよ。
結城のこと、忘れたくない!』
“忘れたくない“この言葉の重みを俺は計り知れなかった。さくらにしか分からない。
忘れたくないことも少しずつ忘れてしまう。
そんなに辛いことをこんな小さなさくら1人に抱えさせることは出来なかった。何も出来ないけど半分重みを持ってやりたかった。
子供のように泣きじゃくるさくらの背中を擦りながら『大丈夫、大丈夫だ。』
根拠の無い“大丈夫“を連発した。
『ホントなの。若年性アルツハイマーっていう病気。』
テレビやドラマで何度か耳にしたことがある若年性アルツハイマー。どんな病気かは正直思い出せないけど。
『少しずつ記憶が低下していく病気。
はっきりした治療法は無いし、進行性のある病気だから近いうちに結城のことはもちろん、自分のことも忘れちゃうし、日常生活にも支障が出る』
俺の脳みそだけでは理解が追いつかないことばかりをポンポンとさくらが言うので俺は
『何か出来ること、ある?』
そんな無責任なことしかいえなかった。
『綺麗なままでいたい。結城と出会って良かったってほんとに思ってる。覚えているうちにさよならしたいの。』
何度も言葉を詰まらせて1個1個伝えてくるさくらの目は涙で光っていた。
『それだけは無理だよ。』
好きな奴の気持ちを尊重するのが男の勤め。
何度も父から教えて貰ってきたけど、これだけはこれだけは死んでも聞いてやれない。
『お願い結城。結城にはこれからがある。
10年、20年、その先もっと生きていかないといけないの、いつどうなるか分からない私と一緒になんて居ちゃいけない。』
さくらは本気だった。覚悟を決めた目で俺の手を強く握りながら説得してくるけど頑固な俺はそのお願いだけは聞いてやれない。辛いのはさくらだ。俺じゃない。グッと涙をこらえてさくらの右腕を強く引っ張り抱きしめた。
さくらは声にして泣き出した。
結城、結城。俺の名前を何度も呼んで、1度大きな深呼吸をしたあとさくらは言った。
『結城、好きだよ』
言葉を詰まらせて何度も好きだと伝えてくれた。それに答えるようにして強く抱きしめる。
『忘れたくない。忘れたくないよ。
結城のこと、忘れたくない!』
“忘れたくない“この言葉の重みを俺は計り知れなかった。さくらにしか分からない。
忘れたくないことも少しずつ忘れてしまう。
そんなに辛いことをこんな小さなさくら1人に抱えさせることは出来なかった。何も出来ないけど半分重みを持ってやりたかった。
子供のように泣きじゃくるさくらの背中を擦りながら『大丈夫、大丈夫だ。』
根拠の無い“大丈夫“を連発した。
