17歳で妊娠し、18歳で私を産んだ母。
初めは育てる覚悟も自信もあったのかもしれない。小さい錆びたアパートに2人暮らし。
贅沢はできないけれど人並みの普通の生活だった。3歳の誕生日を迎えてまもなく母は着替えと5枚のハガキが入った小さなリュックを私にさしだしこういった。
『 さくら、ままはもうさくらと一緒にいられない。離れていても大好きだよ、ずっと想ってる、素敵な大人になること願ってるからね』
理由は分からない。母が私と一緒にいられない理由。だけど3歳の私に何を伝えようと無駄だったに違いない。母しか甘えることが出来なかった私はなんでなんでとわがままを言う子供のように泣きついた。そんな私を見て母は涙を見せないように目を真っ赤にしてごめんね、ごめんねさくら。
名残惜しそうに何度も私の頭を撫でながら名前を呼んだ。泣き疲れて眠りについた私は次、目を覚ます時と知らない人ばかりの知らない場所に連れてこられたなんて思いもせずに母が作ったクマの小さなストラップを小さな手で握りしめていた。
5枚のハガキは施設のママが小学校入学、中学校入学、高校入学の時に渡してくれた。
だけど高校入学と同時に一人暮らしを始めたので、残りの2枚は私が引き取った。20歳のさくら、結婚するさくら。
叶うことの無い未来に向けた母からの手紙。これだけはきっと封を開けられない。
計3枚もう既に封が空いたものの内容はほとんど変わらない。
大きくなったさくらをもう一度みたい。
さくらが幸せなことを願ってる。
あなたの幸せが私の幸せ。
最後にはいつも1文だけ
儚いからこそ美しい。儚いからこそ何度も何度もと恋しくなってしまう。
さくらが素敵な女性に育ってくれますように。
私は何度春が来てもあなたの花びらとなる。
何度読んでも意味は分からない。
いつかわかる日が来ますように。
覚えていられるうちに。
初めは育てる覚悟も自信もあったのかもしれない。小さい錆びたアパートに2人暮らし。
贅沢はできないけれど人並みの普通の生活だった。3歳の誕生日を迎えてまもなく母は着替えと5枚のハガキが入った小さなリュックを私にさしだしこういった。
『 さくら、ままはもうさくらと一緒にいられない。離れていても大好きだよ、ずっと想ってる、素敵な大人になること願ってるからね』
理由は分からない。母が私と一緒にいられない理由。だけど3歳の私に何を伝えようと無駄だったに違いない。母しか甘えることが出来なかった私はなんでなんでとわがままを言う子供のように泣きついた。そんな私を見て母は涙を見せないように目を真っ赤にしてごめんね、ごめんねさくら。
名残惜しそうに何度も私の頭を撫でながら名前を呼んだ。泣き疲れて眠りについた私は次、目を覚ます時と知らない人ばかりの知らない場所に連れてこられたなんて思いもせずに母が作ったクマの小さなストラップを小さな手で握りしめていた。
5枚のハガキは施設のママが小学校入学、中学校入学、高校入学の時に渡してくれた。
だけど高校入学と同時に一人暮らしを始めたので、残りの2枚は私が引き取った。20歳のさくら、結婚するさくら。
叶うことの無い未来に向けた母からの手紙。これだけはきっと封を開けられない。
計3枚もう既に封が空いたものの内容はほとんど変わらない。
大きくなったさくらをもう一度みたい。
さくらが幸せなことを願ってる。
あなたの幸せが私の幸せ。
最後にはいつも1文だけ
儚いからこそ美しい。儚いからこそ何度も何度もと恋しくなってしまう。
さくらが素敵な女性に育ってくれますように。
私は何度春が来てもあなたの花びらとなる。
何度読んでも意味は分からない。
いつかわかる日が来ますように。
覚えていられるうちに。
