甘い思い

昔からフシアの家でのおまじないらしく、何かある毎にされる。最初こそびっくりしたものの、もう慣れてしまった。

そして、ドアに手をかけて手を繋いだまま一緒に帰り道を歩いて行く。
私も大学生になって住み始めたマンションの距離は近くあっという間に着いてしまった。
いつも通り手を離して、別れようとすると再び手を掴まれる。

「フシア?」

「ねぇ、僕がさ結婚しようと思うって言ったらどう思う?」

時が止まる。
結婚。その言葉に頭が真っ白になり、言葉が出なくなった。