高嶋幸望(たかしまさちの)ver.

私はいつも仮面を被る。
…そうすれば楽だから。
「幸望姉ちゃん」
「幸望」
家族の前でも私は…仮面を被り続けるの。
だって……。
「どうしたの?」
笑っている方が皆…好きなんでしょう?
それに笑っていれば大抵のことは上手くいく。
だから私は笑うよ?
偽りの笑みで。

「やっと1人か…」
1人になれる時間は幸せだと思う。
あまり幸せという感覚がないからわからない。
1人の時間は好き。
だけもそれでも…やることは特にない。
宙をただ見つめているだけ。
でもたまに胸がすごく痛くなるの。
心臓を鷲掴みされてるみたいな感じ。
痛くて苦しくて…涙が溢れてくるの。
病気なのかなとも思ったけど…きっと両親に言っても…。
「幸望なら大丈夫」
そう言って笑って言うのだろう。
あの時から私は両親に求めるのをやめた。
痛いのも苦しいのも全部…耐えればいい。
ずっと長くは続くことがなかったから。