茅野白百合(かやのさゆり)ver.

この世にどうしても誰にも渡したくないのがあるの。
私の宝箱に閉じ込めておきたいのがあるの。
狂おしいほど君のことが好きだよ。
『白百合ちゃん!』
いつも笑って私のそばにいてくれる女の子・柚木歌音(ゆぎかのん)。
抱きしめると温かくていい匂いがする。
「白百合ちゃん、あのね!私…好きな人ができたの!…応援、してくれる?」
え…?どうして?
いつも一緒にいたのに。
頑張って…必死に取り繕った。
「う、うん!応援…してる」
誰にも譲りたくない。渡したくない。
だから……ね?
それから数日後のことだった。
「白百合ちゃーん!」
泣きながら走って来る歌音の姿に私は胸がキュンと高鳴る。
泣いてる姿も可愛い…。
「どうしたの、歌音?」
私は笑って聞いた。
「私…失恋しちゃったよ〜っ!!」
「え、どうして?!あんなにお似合いだったのに!」
…そんなことないけどね。
失恋したのなんて知ってるよ、歌音。