鳴神奈緒(なるかみなお)ver.

俺には好きな奴がいる。
でもきっとこの好きは皆には軽蔑されるかもしれない。
だって俺の好きな人は…。
「あ、奈緒くん!おはよー!」
ニコニコと満面の笑みで俺のとこに駆け寄ってきたのは…。
「はよ、奏斗(かなと)」
俺もニコッと微笑む。
「うん!今日も寒いね〜」
「だな」
俺の好きな人はこいつ…甘野奏斗(かんのかなと)、男だ。
まだ同性愛が認められていないこの社会。
俺は……日に日に奏斗への好きが膨らんでいく。
でもきっとこの思いは実ることはないだろう。
だって奏斗には…好きな人が、いるのだから。
「あれって茂上(もがみ)さんじゃない?」
そう言って笑って指さす先には奏斗が好きな茂上鈴那(もがみりんな)先輩がいた。
「…だな」
奏斗はとても嬉しそうだった。
見つけても奏斗は声をかけることはしない。
本人の前だと緊張してしまうかららしい。
そんなとこも可愛いなと思ってしまう俺はおかしいのかもな。