宮坂里穂(みやさかりほ)ver.

もう一度…あの日みたいに走りたい。
「もう走るのは無理かと思われます」
ずっと走るのが大好きで小学生の頃から陸上部に入っていた。
そんな私に突きつけられたのが…。
「そん…な……っ」
もう走ることができないということだった。
一ヶ月後には全国大会を控えていた。
それがもう…出られないなんて。
私は生きる価値を……失った。
それから一年の月日が経ち、私は高校生になった。
「あの!マネージャーやりませんか?」
「……マネージャー?」
走るのが好き。
なのに走れない。
それなのに…どうして今、走れる人たちを目の前で見て、サポートしなければならないの?
「とりあえず見学だけでも!」
そう言って強引だけども私は見学することになった。
「……」
広くて、ちゃんと整備されているグラウンドだった。
ここで走れたらきっと気持ちいいだろうな。
もう走れないのに無意識に私はそんなことを考えてしまう。