やっぱり帰ろうかなと、決意が揺らぎそうになった時、咲紀の言ってくれた言葉を思い出した。

……やっぱり、行こう。

私は、先輩の家のインターホンの前に立って、指を伸ばす。

ピンポーン————

『はい』

「あ、あのっ、ひかる先輩いますか……?」

『ああ、ひかるは今出かけてますけど……』

「そうですか……あの、渡してもらいたいものがあるんですけど、いいですか?」