義理なんて渡せない

≫♡

考えすぎで眠れなかった昨夜
眠い目をこすりながら朝玄関を開けた先にいたのは成迫で


「っ!成迫...おはよ」

「詩乃おはよう。呼び方戻ってる」

「あ、おい・・・くん」

会えるって学校でってことじゃなかったの?!
迎えに来てくれるってことだったの?


朝一で名前呼ぶなんて思ってもみなくて
昨日みたいに呼び捨てにはできなくて、くん付け


「いつか呼び捨てできるようになるから、それまでもうちょっと待ってほしいというか・・・」
もごもご言い淀んでいると「少しずつ慣れてくれればいいから、ん。」と差し出された手


「あ、ごめん。今日は甘いもの持ってない。とってくるから待ってて?」

「ちげーって、こっち」

するりと握られた手

「?!」

「詩乃と手つなぎたいから今日から徒歩通にする」


朝から劇甘モード
いつもは私より後の電車に乗ってるはずなのに


これからは登校も一緒だなって
早起きしてまで私の家に来てくれる彼にキュンとする


「ウメギシ駅までだからね」


許しちゃう私って軽いんだろうか
いや、彼に対してだけだもん


それにここら辺りで私たちのことを気にする人はいないはず
そう高をくくっていた


部員とマネージャーだったことに感謝をしながら学校に着くまで隣を歩いて
教室にも一緒に入る


教室に着くと一番に月夜ちゃんが近づいてきて一言
「おめでとう」と言ってくれた