義理なんて渡せない

「じゃぁ、ばいばい」


桜公園から右にいけば私の家
左に行けば彼の家


自分から帰ろうと言ったのに名残惜しいって思うなんて
私って実は寂しがり?


バイバイと手を振った私に「詩乃何言ってんの?」と彼が言う


「送るに決まってるだろ?」


いつも送りたいって思ってたなんて続けるからもう私にはキャパオーバー
当たり前に送ると言ってくれて嬉しかったのにコクコク頷くことが精一杯で


送ってくれてる間の返事も「うん。」としか言えなくて
さながらロボットのよう


「あ、着いちゃった」


いつもより長く一緒にいたのにあっという間に着いてしまった私の家


「もう少し一緒にいたかったな...」

「詩乃?」

「?!」


私声に出しちゃってた?!
慌てて口を押えたけどもう遅い


「詩乃も一緒にいたいって思ってくれてんだ?」


今回は見える
私の家から漏れた明かりに照らされた彼の顔


微笑んでくれていて
やっぱり甘い成迫にはまだ慣れそうにない


「明日も会えるから」

「うん。また、明日ね」


彼の遠ざかっていく背中に見えなくなるまで手を振り続けた


「ただいま~」
おかえりの声が聞こえる中階段を駆け上がりベッドへダイブ


枕に顔を押し当ててバタバタ悶える
それでもなんだか実感がわかなくて頬っぺたをつねってみる


「ちゃんと痛い...」
痛いってことは本物で、私と成迫はカレカノ!?


やっと追いつけた現実
深呼吸をして落ち着こうと試みるも、そんなことできなくて寝れなかった