空に一番近い彼

『駿さん、星が綺麗ですよ。見に行きましょう』

彼は頷いた。

屋根裏部屋へと階段を上り、二人で寝転がった。

空気が澄んでいるのか、いつもより星が輝いていて美しい。

『綺麗だな』彼がスマホ画面を見せる。

『はい、駿さんが枝を切ってくれたから、凄く綺麗に見えます』

『俺は役に立ったようだな』

『役に立ったって…仕事してる時の駿さん、凄くかっこよかったです。父が興奮するの良くわかりました』

『照れるな』

『駿さん、剪定する枝はどうやって選んでいるんですか?』

『選ぶ、か…… 俺の場合、木が教えてくれる』

『え⁉︎』

『なんとなくなんだけど、ここを切れって、言われてるような気がするんだ』

『木の声が聴こえるってことですか?』

『ざっくり言うとそうかもしれない』

『じゃあ、クスノキも駿さんに、苦しいからココを切ってって言ってたんですね』

『そんなとこかな。美咲には俺の心の声が聞こえるか?』

『はい、聞こえます』

『おっ!自信ありげだな』

『私のことが好きだって言ってます』

『それはさっき俺が告白したからだろ』

『てへっ』

『なんだよ、てへっ、て』

二人で笑い合った。

『美咲、もう一度呼んでくれないか、俺の名前。無理にとは言わない。でも、呼んで欲しい』

さっきは何も考えず、思わず出てしまったので、声量を考える余地がなかったのだけれど、改めて声に出そうとすると、どんな風に言えば良いのか戸惑ってしまった。

そんな私を見かねたのか『ごめん』と誤ってきた。謝らせる気なんて全くなかったのに、申し訳なくて胸が痛んだ。