「駿、そろそろ帰ろうか。剪定したやつを片付けにゃならん」

親父たちが屋根裏部屋へ入って来た。

「わかった」

「おーっ、ここはなかなかイイ場所ですな」

帰るぞと言っておきながら俺の場所を分捕り寝転がった。

「ここは美咲の一番好きな場所なんですよ。駿さん、不躾な頼みで申し訳ないんだが、たまに娘の様子を見に来てもらえんだろうか」

「もちろんです。自分なんかでよければ」

「やはり、親としては心配でね」

「そうですよね。ちょこちょこ顔出します」

「ありがとう」

彼女の父親からお墨付きをもらったようで胸が躍った。なんのお墨付きだよとツッコみ笑ってしまった。


その日の夜、高ノ宮氏と何を話していたのか親父に聞いてみると、ほとんど空師の事についてだったが、美咲のことについても少しだけ話してくれたという。

パイロットに憧れ、内定までもらっていたが、夢を諦めなければならなかったこと。家族に気を遣い、全てを断ち切りたいと自ら別荘暮らしを選んだこと。娘のことが心配だという彼に、うちの息子を用心棒でもなんでも使ってくれと言ったこと。

俺は密かに親父に感謝した。
いい仕事するじゃないか親父!