…シュッ!

「わぁっ!」
             
            レクセレスト
だけど、人々の"好き”による「合成能力」はそんないい事ばっかりじゃない。

だってね、貧しい者たちなどが盗みなどにその力を使うから。


(今だって、顔の横すれすれを緑の何かが通り過ぎた…?)

遠くからお姉さんが叫んでいるのがどこからか聞こえてくる。

「アレに商品を盗まれたの!」と。

「えっ!さっきの?」

あたりを見回すと、屋根の上に袋を持っている人影を発見。

(多分、いや絶対にあの子だよね。)

「でも…、私と同い年くらい。」

だって、どう見ても私と同じような背丈。何よりローブから、風で顔が少し見えている。

ドクンッ

(なんで…子供なのに罪を犯すの?)

唐突に胸が騒ぎだす。影を落とす顔に釘付けになる。

私は無性にあの男の子と話がしたい気持ちが湧き上がってきたんだ。

〈何で罪を犯すのか。〉