「こんにちは。そうなの、今日もお願いしたいんです。……先ほどのかたは?」
多分彼は隣の高校の生徒であろう。学ランの校章に見覚えがあった。
花屋の店主は少し恥かしそうに頭をかいた。
「すみません、うちの倅が…。まだなかなか花を愛でる情緒が芽生えていないんです」
せがれ。なるほど息子さんだったのか、と。少し目じりの鋭さが似ていると先ほどの彼を思い返しながら思う。
「初めて見ました。なんというか、その、……活発そうな方ですね」
めちゃくちゃ怖そうでめちゃくちゃヤンキーですね、と口が裂けても言えない。
桜はとても仲良くなれそうにはなかった。
店主はがっくり肩を落とし力なく笑った。
「活発…ただのあほなんです。ただのあほ。本当にちゃらんぽらんで、桜ちゃんの爪の垢煎じて飲ませたいよ…だって毎日お母さんの病院に通っているだろう?俺がもし同じ立場だったら息子は、まあ、ないだろうなぁってな…」
項垂れた店主に慰めるように声をかける。
「いやいやそんな…あ、あのお花、綺麗。あれは?」

